力と正義

力、正義

この言葉を聞いた事があるでしょうか?
「正義無き力は圧政なり、力無き正義は無能なり」
それなりに有名な言葉なので知っている人も多いかもしれま
せんが、パンセという著書に出て来る言葉です。

パンセはフランスの哲学者ブレーズ・パスカルが書き綴った
断片的なノートを、彼の死後に編集して刊行された書物です。
この言葉、日本では極真会館の創始者である大山倍達が気に
入っていた事で有名です。

最近、「大山倍達正伝」という本を読み、そこで久しぶりにこ
の言葉を見かけましたが、色々と思うところがあります。

さて、僕自身はパンセを読んだ事が無いので、
「正義無き力は圧政なり、力無き正義は無能なり」
という言葉の本質的なところは把握できていません。

相当難しい本のようなので、かなり奥深い思想が入り込んで
いるのだと思います。

とは言え、言葉としては非常に明瞭なので、何となくのレベ
ルでは理解できます。

力があっても正義が無ければただの暴力であり、それでは上
手くいくわけが無い。

とは言え、力が無ければ実行力が無いので、それはそれで上
手くいくわけが無い。

正義と力、両方があって事を成し遂げられる。

とまあ、概ねそんな意味に取れますが、政治に置き換えると
わかりやすいですよね。

簡潔でリズムも良く、皮肉も籠ってて、的を得た良い言葉の
ように感じています。

しかし、せっかくのこの良い言葉、政治だけで終わらせては
勿体ありません。

ほとんどの人は実際の政治なんてしませんから、ただ響きの
良い言葉程度で終わってしまいます。

有名な哲学者が残してくれたメッセージ、もっと有効に使え
ればと思うのです。

そこで、今日は僕がこの正義と力の意味を現実問題に合わせ
て色々な形で翻訳し直し、有意義に使えるようにしたいと思
っています。

肉体改造、健康、ビジネス、恋愛などなどあらゆるカテゴリ
で応用できる形でお伝えするつもりです。

文字通り人生の質が向上すると思いますので、是非とも参考
にしてみて下さい。

栄養と美味しさ

まず、正義と力の関係、これを健康に当てはめると、「栄養」
と「美味しさ」に言い換える事ができます。

栄養だけに偏重した究極は青汁ですが、青汁は不味いので飲
むのが困難です。

美味しさに偏重した究極はジャンクフードですが、こちらを
続けていけば体を壊します。

「栄養無き美味しさは破壊なり、美味しさ無き栄養は無意味
なり」と言う感じでしょうか。
栄養と美味しさは常に両輪が必要で、片方だけでは成り立た
ないのです。

この辺はよく勘違いされる方がいます。
特に健康意識に目覚めたばかりの人は栄養に重きを置き過ぎ
て、美味しさをないがしろにしがちです。
何でもかんでも生でボリボリ食べたり、
ニンニクや唐辛子入りのジュースを飲んだり、
サプリメントを山のように摂取したり、
本人にとって美味しいのであればいいですが、だいたいは最
初の勢いでやっているだけです。

僕自身もそういう時期がありましたが、それでは決して健康
にはなれません。

無理しているのでストレスにもなるし、美味しいと感じない
と吸収率も落ちるので、効果は半減されます。
食と健康の問題を考える場合、必ず栄養と美味しさの両面か
ら迫る必要があるのです。

やりがいと儲け

では、今度は正義と力の関係を仕事に当てはめてみましょう。
色々な角度からの説明が可能ですが、一側面として「やりが
い」と「儲け」があると思います。

やりがいに集中した究極はボランティアですが、収入が入ら
ないので仕事として成り立ちません。

一方で儲けに集中した究極は詐欺師ですが、それが長続きし
ないのは誰でもわかると思います。
「やりがい無き儲けは非道なり、儲け無きやりがいは空論な
り」というところでしょうか。

この辺は仕事をされている方は、皆葛藤するところだと思い
ます。
「やりたい事をやりたい」
「夢を叶えたい」
「自由に生きたい」
と思いながらも、
「稼がなければ生きていけない」
「生活を安定させたい」
「もっと良い服を着たい」
などの欲求とぶつかり合います。

この時、男性は儲けを重視する傾向にあり、自分の心を押し
殺しがちですが、するとストレスを溜めて体を壊し、仕事が
嫌になって転職を繰り返します。

逆に女性はやりがいを重視する傾向にあり、生活が苦しくな
りがちですが、これもやはりストレスとなって同様の事態に
陥って行きます。

何度も言うように両方大切です。
片手落ちになってはいけません。
やりがいと儲けのどちらも見据えて中庸を取っていく必要が
あるのです。

黄金比率

さて、話が膨らんで来たのでこの辺で少し纏めてみましょう。

「正義」と「力」
「栄養」と「美味しさ」
「やりがい」と「儲け」
これら 2 つの対立軸を纏めると、
「正しさ」と「楽しさ」
にできると思っています。

正しさ→正義、栄養、やりがい
楽しさ→力、美味しさ、儲け
という分け方です。

少し分かり辛いかもしれないので、正しさの感覚を挙げてみ
ると、

・真実や善という感じ
・ジワジワくる、深みがある
・崇高な感じ
・長期的なメリットがある
・賢くなる、成長する
というものです。

一方、楽しさについて言うと、
・大衆性という感じ
・即効性がある、キャッチーである
・下品な感じ
・短期的なメリットがある
・気持ちいい、欲求が満たされる
というものです。

何となく分かって頂けると思いますが、こうした正しさと楽
しさの 2 つをバランス良く持とうねという事です。

とは言え、難しいのがそのバランスです。
バランスが大事というのがわかっても、具体的にどういう比
率に持っていくべきか、ほとんどの人はわかりません。
これに対して、僕の先生はかなり明確な数値でその比率を教
えてくれています。

結論から言うと、
正しさ:楽しさ=7:3
に持っていくのがベストという事です。
この大元の考えは、世界トップクラスのコンサルティング会
社がビジネスの成功率を試算したところから来ています。

そこではコストと売上という対立ですが、更にそこへ僕の先
生の経験則が上乗せされ、7:3 の法則が導かれました。
これが最も良いバランスであり、最も安定した結果が出る黄
金比率なのです。

支持率 VS 持続率

この事にもう少し理由付けをすると、
楽しさは「支持率」に繋がり、正しさは「持続率」に繋がる、
という事実があります。

正義と力の例を取ってみましょう。
力に任せた強引な政治というのは、実行力が高いので瞬間的
に支持されます。

しかし、無理矢理起こした反動から別の問題が起こり、長続
きはしません。

一方で、正義の名の下の行動というのは、パンチが弱く最初
は余り支持されません。
しかし、副作用無く徐々に結果が出ていくので、末永く持続
していく傾向にあります。

栄養と美味しさも同じです。
美味しさは快感をもたらしてくれるので、その場では圧倒的
に好まれますが、段々と体が壊される感覚があり、どこかで
ストップがかかります。

ジャンクフードが次から次へと味を変え、新商品を出すのは
そのためです。
逆に、栄養は快感が少ないので、最初はそれほど受け入れら
れませんが、長期的に体調を良くしてくれるので、頑張って
でも続けようと思うようになります。

老舗の懐石料理など、昔から味が変わらないのはこういう一
面があるからだと思います。

やりがいと儲けも同じです。
儲ければお金がたくさん入るので、誰もがそこに群がろうと
しますが、その内に心がすさんでしまうため、どこかで別の
道を考え始めます。

やりがいはお金を手にするのが大変で、特に始めの内は苦し
い状況が続きますが、やりたい事をして顧客から感謝され、
心が満たされるので、長く続ける気になります。
これでわかる通り、物事には何でも持続率と支持率の対立が
あります。

大事なのはそのどちらもが必要という事と、そのベストバラ
ンスが 7:3 という事です。

持続率:支持率=正しさ:楽しさ=7:3
です。

何故、7:3 なのかは結果論としか言いようがありませんが、
ビジネスの世界ではそれが最も安定する事がわかっています。
政治の世界も同じです。

健康面や仕事面も同じです。
僕の実体験からもそう感じています。

イケメンか?金持ちか?

この事はあらゆる分野に精通して言えます。
例えば、このバランス比を恋愛に置き換えて分析した人の話
を聞いた事があります。

どういう男性がモテるのかという命題に対し、「顔」と「収入」
の対立軸で調べられました。

その結果、最終的に最もモテる男性は、収入:顔=7:3 だっ
たようです。

先程の話に繋げれば、
収入:顔=正しさ:楽しさ=7:3
という事になります。

別に収入がある事が正しいと言いたいわけではありません。
収入と顔という対立軸を考えた時、顔は瞬間最大風速を狙え
る楽しさであり、収入は長期的恩恵を与える正しさになると
いう事です。

勿論、イケメンだけでもモテる事はモテるでしょう。

しかし、大人になるに連れて、収入は顔を超えて来ます。
進化論的にも男性の魅力は「資源」と言われていますので、
あながち間違った考えでは無いと思います。

美しい体か?使える体か?

正しさと楽しさのバランスはトレーニングにも精通します。
代表なのが「見栄え」と「実用性」です。

例えば、特定の筋肉だけを動かす筋トレはその部位の筋肥大
効果が高まり、見栄えは良くなります。

しかし、部分で動かす事に慣れてしまうと、体幹との連動が
失われ、全体としての出力が弱くなってしまう事があります。

負荷が一部に集中するので怪我もしやすくなり、物理的に長
く続ける事も困難にもなって来ます。
逆に、体幹を中心とした全身トレーニングは小さな筋肉で大
きなパワーを発揮できる効率性の高い使える体になります。
怪我も少なくなるので持続性も高まります。

しかし、効率的な体の動かし方では筋肉への負担が少ないた
め、見栄えは余り良くなりません。
そして、見栄えが変わらないトレーニングではやる気が上が
らず、実践しようと思えないのです。

ですから、見栄えも実用性も両方必要です。
これまでの話に準拠して言えば、
実用性:見栄え=正しさ:楽しさ=7:3
という事になります。

多くの人が見栄えだけに囚われているので、表向き実用性の
重視を強めに訴えてはいます。

しかし、決して見栄えを捨ててるわけではありません。
それでは支持される事は無くなってしまうので、見栄えの話
も程良く入れるようにしているのです。

信頼か?利益か?

このバランスの話は仕事の能力においても言えると思ってい
ます。
例えば、「技術力」と「営業力」。

僕は以前、SE として働いていた事がありますが、その時に必
要とされたのが、プログラミングの技術力と、仕事を取って
くる営業力の 2 つです。

大抵の社員はどちらかに偏っていますが、そのせいで大きな
結果を出す事ができません。
営業偏重者は会社の利益アップのために口を回して仕事を取
ってくる事はできます。

しかし、技術力が無いので込み入った話ができず、また、い
ざという時に頼りにもならないため、深い信頼関係が築けず
リピートされません。

一方、技術偏重者は細かい話ができて、トラブルが起きた時
も頼りになるので現場でお客様との信頼感を強く築けます。
しかし、会社の利益を全然考えないので、仕事を取って来ず、
自社の経営に負担をかける事になってしまいます。

やはり、大きな結果を出す優秀な社員達は技術力と営業力の
比率が 7:3 の方でした。

つまり、
技術力:営業力=正しさ:楽しさ=7:3です。

思想か?実践か?

他に、「マインド」と「テクニック」という対立についてもこ
のバランスが使えると思います。

何かしらの結果を出したいと思う時、マインドとテクニック
という両面からのアプローチがあります。

例えば、健康面のマインドで言えば、
「自然治癒力を信じ、その手伝いをする」などがあります。

一方、テクニックで言えば、
「マルチビタミンのサプリを摂取する」
などがあると思います。

こういう時、初心者はどうしてもテクニックに走りがちです。
すぐに結果が出るイメージがあるので、凄い効果のあるサプ
リを知りたがります。

しかし、マインドができていないと、サプリをガバガバ飲ん
でサプリ漬けになり、サプリ無しでは生きられなくなったり
します。

自然治癒の手伝いをするというマインドがあれば自制できる
はずなのですが、目先のテクニックに溺れてしまい、悲しい
事態に陥ってしまうのです。

逆に、マインドがしっかりしていても、テクニックを知らな
ければ机上の空論です。

勉強好きな方に多い傾向がありますが、いくら正しい思想を
持っていたとしても、具体的な実践方法を知らなければ現場
は変わりません。

口先だけの情けない人にならないよう、しっかりテクニック
も学ぶ必要があるのです。

そして、何度も言うようにそのバランスは 7:3 である事が
大切です。

マインド:テクニック=正しさ:楽しさ=7:3です。

利己か?利他か?

バランスの話は「自分の為」と「世の為」という対立でも参考にできます。

仕事への意気込みなどで、「困っている人を救いたい」と息巻
いている人をよく見かけます。それはそれで素晴らしい事と
思うのですが、大抵そういう人は自分が救われていません。
これは別のところでもお話しましたが、自分が救われていな
いのに他人を救おうというのはおこがましい事です。

例えば、自分が貧乏で困っているのにビジネスコンサルタン
トをする人がいますが、それは迷惑としか言えません。

こちらとしてもアップアップで余裕が無い人に手を差し伸べ
られたくありません。

他人にお金を稼がせたいのだったら、まずは自分が稼いで救
われている必要があります。

自立が先です。
自立できて余裕が出てきたら、他人を救ってあげて下さい。
これもどこかでお話したと思いますが、幸せとはコップの中
の水に例えられます。

周りの人間が喉の渇きに喘いでいたとしても、自分のコップ
の中に水が入っていなければ与える事はできません。
まずは自分のコップを満たす必要があります。
そして、水がコップから溢れて来てしまったら、その分を他
人に分け与えてあげるべきです。

世の為、人の為に働くだけでは無く、自分の為に動く事も必要なのです。

とは言え、自分の事ばかり考えるといのも問題です。
己の利益ばかりを追求する人は必ず他人から避けられていく
のでいずれ八方塞がりになります。

ですから、世の為と自分の為の行動は両方必要という事になります。

そして、その比率がやはり 7:3 がベストです。
世の為:自分の為=正しさ:楽しさ=7:3という事です。

このバランスの応用例は他にもたくさんあります。
「理性」と「感情」なんかもそうです。
ただ、余りに長くなってきたので説明はしないでおきます。
各自で色々と考えてみて下さい。

仙人へのステップ

それでは最後に、正しさと楽しさのバランスについて重要な事を言っておきます。

それは、「スタートは楽しさから」という事です。

正しさ:楽しさ=7:3 がベストですが、いきなり正しさの比率が高いところを狙っても多分実行不可能です。

残念ながら人間はそこまで高明ではありません。
最初の内は正しい事よりも楽しい事に突き動かされます。
肉体改造でも健全な体より見栄えの良い体が先行します。
健康情報でも崇高なマインドよりも具体的なサプリメントを
知りたくなります。

仕事でも社会的意義があるかどうかよりどれだけ儲かるかが優先するはずです。
それは悪い事ではありません。むしろ自然で良いと思います。

それなのに、無理して正しさを追求すると、不自然でおかしな事になっていきます。
自分が救われていないのに他人を救うなんておこがましいと
言いましたが、正にそういう事が起こって来るのです。

ですから最初は
正しさ:楽しさ=3:7
位から初めていくのが良いと思います。
そこで安堵せずに努力していけば、
正しさ:楽しさ=5:5
がしっくり来るようになります。

そこから更に精進すれば、
正しさ:楽しさ=7:3
が心地良くなってきます。

ちなみに、最終的に極めると、
正しさ:楽しさ=10:0
になっていくはずですが、これは悟りを開いた状態です。

そこまで来たら仙人です。
短い人生でそこまで行くのは難しいと思いますが、それを目指す意義は十分ある事と思っています。

話を戻しますが、スタートは楽しさ重視からで OK です。

そして、努力、勉強、精進をしながら、徐々に正しさを取り
入れていき、正しさ:楽しさ=7:3 を目指して下さい。

もしそれが実現できれば、どの分野においても良い結果を出せるようになると思います。
激しい旨味があるというわけでは無いけれど、最も安定して満足いく結果を出せるはずです。

鍵は正しさと楽しさのバランスです。
自分は今どのような比率で動いているか?という事を考え、丁寧に生きてみて下さい。

おすすめの記事