恒常性をぶっ飛ばせ!

肉体を常に進化させ続ける
ための重要な鉄則とその方法論についてお話します。

途中で停滞したり、後退してしまう事無く、
常に前進させていくために必要な事です。

今回は概念的なお話をして、
次の2回で具体的な話をしていきますので、
良かったら目を通してみて下さい。

体作りにとっても、健康にとっても、
非常に重要な内容になると思います。

2つの概念

さて、肉体を進化させ続けるのに必要な事ですが、
結論から言うと、

「習慣化」と「プロジェクト」

という概念を持つ事です。

この言葉自体は投資家として有名な
ジェームススキナーが言っていたのを
パクって来たものです。

厳密にはここで言いたい事と少し違うのですが、
表現としてわかりやすいので採用しています。

まず、習慣化とは半年や1年といった長い
スパンで徐々に成果を出していく方法です。

例えば、ダイエットのために毎日ジョギングするとか、
胸を厚くするために週2回ベンチプレスをするとか、
健康のために朝野菜ジュースを飲むとかです。

毎日~1週間の周期で習慣を持って、
少しずつ体を変えていこうとする方法です。

これには2つのメリットがあります。

1つはリバウンドが起こりにくい事。

習慣は毎日続ける事なのでそこまで無茶をしません。

そのため、激しい反動を受けて、悪い食生活に
戻ってしまうようなリスクはほぼありません。

2つ目は継続性がある事。

習慣は一度クセ付いてしまえば、
やらないと逆に気持ち悪くなります。

そのため、満足のいく体が出来上がった後、
それを維持する事に向いています。

この2つの理由から現代では非常に重要視され、
ほとんどの肉体改造メソッドはこの習慣化に
基づいた方法論を取っています。

「このトレーニングを習慣化しなさい」

「この食事を習慣化しない」

こういうような提案は多いと思いますが、
習慣化は肉体改造の世界において今や
王道として君臨しています。

恒常性の壁

しかし、実は習慣化にも弱点があります。

完璧だと思っている人が結構多いのですが、
大きなデメリットを内包しています。

それは、ある一定の成長をすると、
「ホメオスタシス」により成長が止まる
というものです。

ホメオスタシスとは「恒常性」とも言いますが、
生物や鉱物がその内部環境を一定の状態に保ち
続けようとする傾向の事です。

これは色んな面から言える事なのですが、
僕達人間には常に現状を維持する働きがあります。

例えば、一度就職してしまうと、
辛い事があっても無理して転職せず、
その会社に居続けようとしてしまいます。

一度異性と付き合ってしまうと、違和感を感じても
何となく流れでそのまま結婚してしまったりします。

一度ある街に住み慣れてしまうと、引っ越しする際に
ついつい近くの街を選択してしまったりします。

行った事が無いところに行くのは抵抗があります。

知らない人と話すのは大変です。

新しい事にチャレンジするには鉄の意思が必要です。

生命体にはあらゆる物事において
ホメオスタシスが働いているのです。

これは別に精神的な事だけではありません。

生理的なレベルでも起こっています。

体温の維持、血糖値の維持などはその最たる証です。

そして、ホメオスタシスは
骨格や体のサイズに関しても働いています。

つまり、筋肉や脂肪の量においても
恒常性が発揮されているという事です。

それは何を意味するかと言えば、
トレーニングにおける成長の抑制を意味します。

例えば、ダイエットのために運動を増やし、
カロリーを減らした食事を習慣にすると、
最初は順調に体脂肪が減っていくでしょう。

しかし、ある一定のラインを迎えた時、
体脂肪量の変化はピタリと止まります。

どう考えても食事量より運動量の方が
多いのに不思議と止まってしまいます。

それはホメオスタシスによって、
運動時のカロリー消費量が抑制されたり、
食事時のカロリー吸収量が促進されて、
体を維持する力が働いてしまうからです。

筋肥大なんかも同じです。

筋肉を付けて体を大きくしたいと思って、
たくさん食べてたくさん筋トレをするような
習慣を持ったとしましょう。

最初は順調に筋肉がついていきます。

体重も増えてガタイは良くなっていくでしょう。

しかし、やっぱりある一定ラインで止まります。

どう考えても体重が増えていきそうな食事をしていても、
その習慣を続けている限り、完全に止まる時が来ます。

ホメオスタシスによって体のエネルギー代謝が調整され、
現状維持の方向へ動き出すからです。

毒性への反応なんかもそうです。

マックやコンビニ弁当を食べると、食品添加物や
トランス脂肪酸などの毒物を摂取する事になるので、
最初は体調が悪化します。

しかし、ある一定量を習慣として食べ続けると、
その毒性への反応が鈍り、普通に生活できるように
なってしまうのです。

これは別に内臓が強くなったというわけではなく、
毒を盛られ過ぎた事で内臓がバカになってしまって、
何も感じられなくなってしまった結果です。

毒に対して寛容になり、毒を受け付けやすい体に
なってしまったとも言えます。

ですから、普段良い食生活をしている人程、
悪い物を食べた時に拒否反応が起こります。

実際、僕は健康に全く気を付けていなかった頃、
ラーメン替え玉5杯とかを平気で食べれましたが、
今では1杯食べただけで必ず下痢をします。

少し話が逸れましたが、ともかくに人間には
ホメオスタシスという性質が備わっているため、
良い習慣を持てたとしても、ある一定ラインから
上には行けなくなってしまうという事です。

そもそも習慣化とはホメオスタシスに働きかけて、
継続性を高めて成長を促進させようという発想ですが、
それは皮肉にも成長を止める反作用も持っているのです。

ぴょん

ではどうやってこの弱点を乗り越えるのか?

それが「プロジェクト」です。

プロジェクトは習慣化とは180度異なり、
短期間で集中的に一気に結果を出す方法です。

極端な事を言えば、1日中走ってダイエットをしたり、
過食しまくって体重を増やしたりするような方法です。

断食によるデトックスなんかもこの種類に入ります。

そして、プロジェクトはホメオスタシスを
ぶち破る事ができる唯一の方法です。

習慣を無視し、短時間で成果を出すような
極めて密なプログラムを組み込みますので、
停滞していた体はビックリして動き出します。

止まっていた減量も進みます。

伸び悩んでいた筋肉も増え始めます。

デトックスをすれば毒素が一気に排泄されます。

イメージは「ぴょん」です。

習慣はなだらかに上がっていくのに対して、
プロジェクトはぴょんと飛び上がる感じです。

こうして短期集中のプロジェクトを取り入れる事で
ホメオスタシスを乗り越え、常に成長し続ける事が
できるようになるのです。

勿論、プロジェクトにも弱点があります。

習慣化の逆でリバウンドのリスクがある事と
継続性が全く無いという事です。

短期間で結果を出すという事は非常にハードな
トレーニングや食生活を強いる事になりますから、
その反動が返ってくる可能性は十分あります。

同様に厳しい内容を長期的に続けるのは困難ですから、
ずっと続けていくという事は不可能です。

しかし、これら弱点をカバーする方法があります。

それが習慣化です。

プロジェクトで一気にぴょんしたら、
すぐ習慣化に戻します。

その時、反動でリバウンドが起こりますが、
リバウンドの大きさは元の習慣に依存します。

例えば、プロジェクト前の食生活で夕食に
玄米を1/2合食べていたら、それに沿って
玄米を3/4合食べる程度に収まります。

しかし、これがマックやラーメンだったり
大酒飲みだった場合は最悪です。

それに沿った形でリバウンドが起こりますから、
体は一気に暴飲暴食に振れて努力は台無しです。

つまり、予めリバウンドしても良い食生活を
習慣付けておく事で、プロジェクト後の
リバウンドリスクを最小限に抑えられるという事です。

そして、元の習慣化に戻った時、
再び継続性も発揮されます。

勿論、前の習慣がダラダラしているものだったら
意味がありませんが、継続的に努力している習慣を
持てていたら、その状態に戻る事ができます。

前もって継続性のある習慣を付けておく事で、
プロジェクト終了時のサボり癖を回避できるのです。

しかも戻った時、ホメオスタシスの働きにより、
一度ぴょんした状態は維持される事になります。

以前の習慣化の時と同じ運動、同じ食事なのに、
プロジェクトにより得られた状態は引き継がれ、
筋肉が増えたり、体脂肪が減ったりしているのです。

2つのサイクル

健康や体作りとはこのサイクルなのです。

習慣化→マンネリ化→プロジェクト→ぴょん→
習慣化→マンネリ化→プロジェクト→ぴょん→

大きな目線でこういう循環をさせていく事で、
常に止まらず成長していく事ができます。

勿論、もう現状維持で良いと判断したら
後はずっと習慣化を続けていけばいいだけです。

理想の体を手にするところまで
このサイクルを続けるという事になります。

大切なのは習慣化とプロジェクトの
両方が必要だという事です。

「習慣化」×「プロジェクト」です。

習慣化だけではホメオスタシスの壁を乗り越えられません。

プロジェクトだけではリバウンドリスクが高過ぎます。

習慣化とプロジェクト、
両輪を持って初めて体は前進して行きます。

ちなみに、この習慣化とプロジェクトの考えは、
哲学の弁証法から来ています。

弁証法とは正→反→合という螺旋的発展の事ですが、
気になる方は調べてみて下さい。

という事で、今日は習慣化とプロジェクトという
健康や体作りの方針をお伝えさせて頂きました。

そして次回、プロジェクトの一例として、
バルクアップというものをお伝えしてみます。

特にボディメイクやストレングスを目標とする方に
とっては重要なプロジェクトになりますので、
良かったら次も見ていって下さい。

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