
「世間 VS 社会」
この 2 つの対立構造を明確に理解しておかないと、これから色んな面で苦労する事になると思うので、良かったら見ていって下さい。
さて、世間と社会はどちらも人の集まりを指しますが、前提が全く異なります。
世間 → 集団主義
社会 → 個人主義
というのが前提になっています。
「主義」というのは「それが一番大事」という意味です。
民主主義なら国民が一番大事だし、資本主義ならお金が一番大事ですね。(乱暴に言うと)
そして、世間は集団が一番大事です。
これがどういう事なのかピンと来ない方のために、世間の特徴をお伝えしてみたいと思います。
世間の 5 つの特徴
1.贈与関係
理由が無いのに贈り物をする文化です。
典型的なのが、おみやげ。
友人の家に行く際に何か持っていくのもそうだし、会社付き合いで贈るお歳暮やお中元もそう。
実家に帰ると無駄にご馳走が出て来るのもそうです。
2.年上が偉い
先輩後輩の間柄が絶対です。
社会的な欧米では兄弟姉妹を「brother」「sister」で纏めて表現し、年上や年下を気にしない傾向があります。
一方で日本は「兄」「弟」「姉」「妹」と表現がきっちり分かれていますが、これは年齢を気にする世間の特徴です。
会社でも未だに年功序列は多いと思います。
上司、先輩の言う事は守らねばならないし、受けた好意は素直に受け取らねばなりません。
3.共通の時間意識
時間を共有したものを仲間と認めます。
一緒に働いた時間によって共感を得たり、同じ地元で育った事で共感を得たりするものです。
4.排他性
特定の誰かや団体を敵とする事で身内の団結が強まります。
いじめの元になるものです。
5.神秘性
伝統、しきたり、儀式などです。
合理的な理由は全くないのだけれど、守らなければならない神話を持っています。
年始やお盆に帰省するのもそうですね。
以上が集団主義となる世間の特徴になりますが、これに対して社会は個人主義になります。
個人が一番大事です。
ただこう言うと、自分勝手で利己主義的なイメージを持たれてしまうかもしれませんが、個人主義と利己主義は明確に異なります。
個人主義 VS 利己主義
利己主義は、自分の権利のみを主張し、他人を顧みないものです。
個人主義は、自分に権利があるのと同様に、他人にも同じ権利が存在することを認めるものです。
簡単に言えば、利己主義はジャイアンみたいなもので、
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」
という感じで、自分以外の主張を認めません。
一方で、個人主義は「わたしはわたし」と主張しながら、「あなたはあなた」という事も認めます。
会話形式にすると、
「わたしはこういう人間です」
「わたしはこういう風に振る舞います」
「それを邪魔しないで下さい」
「その代わりあなたの事も邪魔しません」
「あなたはあなたで好きに振る舞って下さい」
「あなたはあなたらしく生きて下さい」
という感じです。
こうして見るとわかると思いますが、個人主義には利己を追求できない仕組みが自動的に組み込まれる事になります。
自分が一番大事と考えながらも、他者を寛容するからです。
そういう意味から個人主義は「心の広い利己主義」と言っても良いと思います。
一方で集団主義は「心の狭い利他主義」と言っても良いと思います。
利己と利他を並べると、一見利他の方が良さそうに思ってしまうと思いますが、一概にそうとは言えない事がわかると思います。
利他主義でも、心の狭い利他主義は排他的な側面を持って争いを生んだり、集団内で足を引っ張り合ったりする事になります。
逆に利己主義でも、心の広い利己主義は自由奔放で差別を生むような事が無く、全員が自立していく道が開かれます。